いろはにほへと「女の妄想」
川瀬一絵×石崎ひゅーい
からだが求める「気持ちよさ」を大切に、そして美しくあるために。女性の視点でつくられたセルフプレジャー・アイテム『iroha(イロハ)』をモチーフに写真家と文筆家がそれぞれの感性で描写します。
「女の妄想」
ほら、僕ら男にとってオナニーって青春の80%を占めているわけであって、銀河鉄道に乗ってどっか宇宙の彼方から故郷を懐かしく思っているようなそんなノスタルジーがすべて詰まっているわけだから、どこか女の子にはわからないよね?みたいな感覚の違いなのかヴィーナス主義か、はたまたただの女性差別か。
どれか分からないけどなんとなく女の子にはオナニーは渡さない!オナニーは譲らない!君たちは花壇のお花にお水をあげていてくれ!今夜も綺麗だよエンジェル!ぐらいに思っていた。男は女の子に恥らいや美しさを求める、それはきっと永遠に。オナラは聞きたくはないがどんな匂いか気になるし見えてるパンツに興味などない、チラリズム・スピリッツが世界を動かしてる。でもそんな考えはもう時代遅れなのだろう、時代は変わったんだ。僕の推察によると匿名性が浸透し始めて顔を隠してなんでもネットで発信できるようになってきたから、女の子達が口で言えなかったことがネットを通して見透かせるようになってきた。
女の子もオナニーをする。それはあたり前のことなのだ。
僕は馬鹿だった。ハッとした。女の子も妄想する、あたり前だ。妄想はとても大切で、特に中学、高校時代の妄想力にはビックバン級の爆発的な力があった気がする。妄想だけでごはんを3杯は食えていた。梅干しに似ている。まだ携帯もない時代だ、大好きな女の子やアイドルや花火大会やナスカの地上絵やマチュピチュやハードコア・バンドやウッドストックや遠いコスモに思いを馳せていた。少しでもその近くにいき肌で触れ、その感触をひとつ1つ感じることができた。好きな女の子の家のピンポンを押して走ったり裸で生ゴミにダイブしたり、妄想とはそういうものだ。妄想とは暴走なのだ。しかし女性が何を妄想しオナニーするのか僕には皆目検討もつかない。しかしひとつ言えるとしたら、もし好きな女の子がオナニーする時はその妄想の中に僕がいてほしい。お願いだから他の人よ浮かんでくるな。
石崎ひゅーい「文&絵」