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「iroha×おしえて!ドクター・ルース トークショー付き試写会イベント ー男女ではなく、人間として性を語るためにー」レポート

夏の暑さもやわらぎ、少しずつ秋の匂いが近づいてきました。1番好きな季節が秋なので、密かにテンションが上がっている広報宣伝部の犬飼です。こんにちは!

 

季節の変わり目、少しそわそわしてしまうこの季節に、最高にhappyなイベントを開催いたしました。当日はあいにくの雨模様だったにもかかわらず、多くの方にご来場いただき、とても素敵な時間を皆さんと共有することが出来ました…!圧倒的感謝…!

 

今回は、8月21日(水)に行われたベリベリhappyなイベント、「iroha×おしえて!ドクター・ルース トークショー付き試写会イベント ー男女ではなく、人間として性を語るためにー」の様子をご紹介します!

 

イベント概要はこちら>

 

すべての人の性を明るく前向きに~iroha×おしえて!ドクター・ルース~

今回のイベントは、8月30日(金)に公開される、映画「おしえて!ドクター・ルース」とのコラボという形で実現しました。

映画の詳細はこちら>

 

映画「おしえて!ドクター・ルース」は、御年90歳になる、セックス・セラピストのドクター・ルースの人生を描いたドキュメンタリー映画。

 

80年代アメリカでタブーとされていた性の話題の切込み隊長となり、全国ネットのTVやラジオで明るく、かつ学術的にリアルな性を語り、社会の価値観を大きく変えていったドクター・ルースの姿勢に、女性の豊かな性を後押しするirohaが共感し、イベントの実施が決定しました。

(身長140センチのルース先生。とってもキュートです♡)

また、従来の抑圧的な女性観から自由になろうと、「女性の性」にフォーカスを当てたメディア特集の多い昨今ですが、男性の中にもまた、ジェンダーロールの押しつけに苦しむ人が少しずつ可視化されてきています。

 

そこで本イベントでは、男性学の見地から、固定化された男性観に異議を唱えてきた田中俊之先生をお招きし、性別の垣根を超えた性との向き合い方について語っていただきました!

田中俊之 博士(社会学)

1975年、東京都生まれ。大正大学心理社会学部准教授

男性学を主な研究分野とする。著書 『男性学の新展開』青弓社、『男がつらいよ―絶望の時代の希望の男性学』KADOKAWA、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』イースト新書、『男が働かない、いいじゃないか!』講談社プラスα新書、小島慶子×田中俊之『不自由な男たち――その生きづらさは、どこから来るのか』祥伝社新書、田中俊之×山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』イースト新書、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』「日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らしている。

 

happy度100%!思わず涙も iroha×教えて!ドクター・ルース試写会付きトークイベント

前半100分間は、映画を上映。小柄な体型ながら、パワフルに明るく、性のお悩みにバリバリ答えていくルース先生の姿は、私たちに前向きな心と勇気を与えてくれます。

上映後、参加されていた方々にお話を聞くと、「いい映画。普通に泣きました」とおっしゃっている方もいて、楽しいだけではなく、心に響く映画なんだなと改めて感じました。

 

ドキュメンタリー映画と聞くと、どこかとっつきにくいイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、回想シーンなどがアニメーションで表現されていることで、難しいホロコーストの歴史なども理解することができ、より一層ルース先生の生き方に没頭することができました!

 

とにかく最高でした…(急激な小並感)

 

そしていよいよ後半は、iroha広報の西野と、田中先生によるトークショー。30分間という短い時間ではありましたが、それぞれが思う性やジェンダーロールについてのトークは白熱。盛りだくさんな30分間でした。

 

学び続けるドクター・ルースから見えるもの

まずは映画の感想から。

 

田中先生は、「伝記物の映画を見た時は、自分の人生がどうだったかを考える一つのきっかけにもなる。せっかくの機会だから、自分の人生っていったいどうだろうと、性の話を中心に考えるきっかけにしてみてもいいのでは」と、映画をきっかけに自身の人生を振り返ったとのこと。

さらに田中先生は、映画から感じた「教育」の大切さについてもお話くださいました。

 

当時の時代背景から、女性であるがために学校で学ぶことを許されなかった幼き頃のルース先生。しかし彼女は、学ぶことを諦めず、学校に通っていた当時の恋人に教科書を借り、夜な夜な大人たちに隠れてひっそりと勉強をしていました。かっこよすぎる…!

 

田中先生:そういった勉強が礎となって将来に繋がっていく。あと有名になったのが50歳と遅いところもいい。その年齢になってなぜ彼女にこういったチャンスが巡ってきたかというと、彼女は学ぶことをやめなかったからですよね。彼女の学び続ける姿勢に僕自身考えさせられるところがありました。

西野:ルース先生ご自身から学ぶ喜びが溢れて見えたのがすごく象徴的でした。性のお悩み相談っていうと、結構下世話なことを想像する方も多いと思うのですが、ルース先生は非常にキレがあって、知的でなおかつユーモアもあるんですよね。学びが土台にないと出来ないことだと思いました。

 

もしもルース先生がただ単に、「エロいことを話すおばあちゃん」だったとしたら、きっとここまで多くの人に愛されることはなかったでしょう。

 

そこには学びから裏付けされた確かな知識があり、その上で、誰もが受け入れられるように明るく伝えたからこそ、今のルース先生と世界があるのかもしれません。

 

「性を表通りに」が目指す“オープンな性”

その後話題は、TENGA社が掲げる「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」というビジョンに移りました。

 

田中先生:性の解放というと、『性を表通りに』というキャッチフレーズもそうですけど、人はフリーセックス的なことを想起してしまう。しかしオープンすぎても、性自体の喜びや楽しみは生まれない。そういう意味でいうとルース先生は、教養に裏打ちされてその上で性をどう楽しむかというステップを踏まれているんだろうなと思います。

 

西野:我々もともすれば、『フリーセックスを推奨している』とか『性って隠してこそエロいのに…』と言われることもあります。そうではなくて、大事なのは、誰かに相談したときに適切な答えを得ることができたりとか、自分が悩んでいることを口にできて、それに対して偏見の目で見られない・脅かされない環境があったりすることだと思っているんです。それらを作るためにもっと頑張っていかなきゃというのが、『性を表通りに』という言葉なんです。

この「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」というビジョン。確かに言葉だけ聞くと、「いつでもどこでも誰とでもセックスしよう!」のようにとらえられてしまうことも多いのですが、西野がイベントで語ったように、「どんな人でも性を楽しめるように、それらを語り、共有できる環境を作っていく」ということを意味しているんです。

 

そのためには性に関する正しい知識を持つことや、偏見をなくすことがとても大切になってくるので、私たちは日々、今回のようなイベントや交流を通してこの言葉の意味を伝えています。

 

感情をオープンに出来ない男子たち

性に関する話がなかなかオープンにできていないという中で、西野が、「そもそも自分の性的な快感や喜び、プレジャーというのを言語化するっていうプロセスが日本だとなかなか難しい。けれどその過程を経ないと、結局自分が何を望んでいるのか、相手が何を望んでいるのかというキャッチボールが難しくなる」と話していたのがとても印象的でした。

これに対して田中先生は、ご自身のお子さんとのエピソードを振り返りました。

 

「男の子って感情を抑制するように育てられてきている。息子の友人の男の子が転んで泣いていると、その子の父親が『男の子だから泣くんじゃない』って叱るんです。でもその子は痛い、でも泣いてはいけない。

そんな風に育つからすごく感情を抑制するようになる。そうすると、あまり自分の心自体を観察したことがないわけです。自分の心を観察したことない人が、他人の心を慮ることができるのかっていうと、非常に難しいなという気がします。アメリカの研究によると、男の子って、華奢だと自信がなくなっちゃうんです。そして筋肉をつけると自信が出て、自己肯定感が増すんです。なんかそういうのって悲しいなって思いますよね」

 

セックスは誰がリードするもの?

田中先生曰く幼少期の教育から、自身の感情をさらけ出すことが難しくなっているという男性たち。これに対して西野は、自身が見た印象的だった男性について話しました。

 

「象徴的だったのは、『絶対にセックス中に喘ぎ声を出せない男性』がいるんです。全然出ないというよりは、すごくこらえている感じ。『出せばいいじゃん!』って思うんですけど、『こういう場で可愛い声を出すのは男らしくない』みたいな思いがあるのかなって感じます」

このエピソードに対して田中先生は、セックス中の男性側の心理についてお話くださいました。

 

「男性側が『喘がせる側』、セックスというのをコントロールする側だと思っている。つまり、勃起・挿入・射精までを一通りうまくやり遂げる!ということですね。だからこそ、男性が受け身になったらいいなと思うんです。ただ声を出すことについては、声を出している人を見たことがないから、どういう声を出したらいいのかわからないという人もいるかもしれないですよね」

 

田中先生のお話を聞いていると、きっとセックス中、男性も不安なんだろうなと感じてしまいました。「上手にリードしないといけない」「男らしいセックスをしよう」と。

 

なんとなく世の中では「セックス=男性がリードすべきもの」と思われがちですが、もちろん、これは好みの問題であって、「そうでなければいけない」ということはないはずです。

 

喘ぎ声だって出していいし、女性主体で進めたっていい。あくまで2人の世界、2人の時間の中で行われる行為なのだから、2人でベストな正解を見つけていって欲しいなあなんて思ってしまいました。

 

現代日本のジェンダーロールの変化 「女性器って何て呼ぶ?」

映画の中でルース先生に寄せられていた質問にも、女性からの質問だけではなく、男性からも多くの質問が寄せられていました。

 

例えば、「早漏はダメなのか」・「サイズはどうなんだ」・「バイブを使うことについて」など…。実はこれ、現代の日本で我々広報がSNSやイベントで受ける質問とまったく一緒なんです。

 

これらは結局ジェンダーロールというものが、性生活に影響を及ぼしている部分だと思うのですが、現代の日本においてジェンダーロールの変化はどのようなものがあるのか、田中先生に聞いてみました。

田中先生:日本はアメリカに比べると、2~30年いろんなものが遅れていると言われています。映画の中では歴史として出てきたようなことが、現代の日本では、まだ憚られるっていうレベルなんですね。

 

でもやっぱり80年代のアメリカにおいても、性の話は衝撃的だったわけですよね。あるいは女性器をテレビで言うとか…。そもそも日本は女性器を公に言ってはいけないということになっているんです。うちの子供が、『パパ、女の子っておちんちんのないほうだよね』って言うんですよ。ただそれに対して、『いや違うよ、おまんこってあるんだよ』とは言いにくい。例えば保育園で彼が先生に『おまんこついてるの?』って言い出したら、もう登園させないでくださいって話にもなりかねない。日本の場合だと女性器ってそれくらいの破壊力があるんです。

 

irohaから見る女性の性

女性器の名称に関する話が出たところで、田中先生からirohaに向けて「名称を公募してみてはどうか?」というアイディアが!

 

「1位の人にはirohaをプレゼントみたいな…感触がいいって聞いたんです」

 

なんと田中先生、以前からirohaを知ってくださっていたようで、特徴であるぷにぷに感が気になっていたとのこと。

実際に手に取りながら「赤ちゃんの肌みたいですよね」と笑顔を見せてくださいました!(男性に話題にしてもらえるのも実は嬉しかったりするんです…!)

 

irohaは、使う人に恐怖感を感じさせないということをとても大切にしているアイテム。直に肌やデリケートな部分に当てるからこそ、こだわりを持った感触を実現しています。

 

西野が、「ある種肌の延長線上にあるもの」と表現していましたが、まさにそうなんです!

irohaについて詳しくはこちら>

 

西野:これまでのグッズは、「男性が女性に使って楽しいバイブレーター」ばかりだったんです。ムダに光ったり回ったり…。そうじゃなくて、女性が自分の身体を喜ばせるために使えるものが欲しかったんですよね。

 

田中先生:女性から『これを使ってみたい』と言うのはいいですよね。それが、恋愛のいいところ。社会が変わらなくても、自分たちでは乗り越えていけるわけじゃないですか。ルース先生もおっしゃっていたけれど、寝室の中で、お互いの同意があれば何をやってもいいわけで。社会が変わるのを待っている必要はないですよね。

西野:女性から相談を受ける中で、膣内のオーガズムって話が結構出てくるんですよ。結局、男性はみんな女性が膣内への刺激でオーガズムを得られると思っている。だから女性側もイったふりをしてしまうし、イケないと彼氏が『なぜ中イキしないんだ』と責めるからすごくしょんぼりしちゃうというお悩みが多いんです。でも、中イキってみんなができるわけじゃなく、むしろできないことの方が多いんです。だけどそういった知識がないから、結局AVを見て『お前はなぜイかないんだ』という話になってしまう。そこで女性側から『いや、そうじゃないし』って言ってもいいし、もっとコミュニケーションをとって、自分たちのセックスを作っていけばいいんじゃないかと思うんですよね。

 

ファンタジーのセックスから抜け出す=想定外を楽しむ

大学生たちに性についての聞き取り調査を実施しているという田中先生。その中で見えてきたのは、「自分たちのセックスを作る」ことよりも前段階でつまづいている人が多いということだったそう。

 

これに対して田中先生は、学生時代に受けてきた性教育に原因があるのではないかと言います。

 

教育をする側である大人たち自身が恥ずかしそうに教えるからこそ、子供たちも、「これは恥ずかしいことなんだ。おおっぴらにやっちゃいけないことなんだ」と学んでしまう。それにより、自分たちのセックスを作る前にそもそもセックスはどういうものかが分からなくなってしまうのだそう。

 

これに対し西野も、「ファンタジーのセックスとそこから抜け出す方法」について話しました。

 

西野:ファンタジーと現実は全然違うということもすごく大事。タイトルにつけたように、「男女ではなく人間として性と向き合うために大事なところ」も、そこに関わってくると思うんです。

 

結局、男性らしさ、女性らしさに則ってセックスをするって、ファンタジーが提供するAVの世界のような想定内の範囲でセックスをしているってこと。その世界では射精がゴールだし、女性はたくさん喘ぐし…。そりゃそこに則っていると不安はないけど、そこから一歩出て、想定外を楽しむことが性を楽しむために大事なんじゃないかなと思うんですよね。それが自分たちらしいセックスを作ること。想定内も大事だけれども、そこは教育も必要ですね。

田中先生:今の日本の想定内はAVであり、あれが想定内ということになってしまうから間違ってしまっている。そこをどうするかっていうのは非常に単純なことで堂々とやればいいわけです。

 

例えば小島慶子さんは、お子さんがそういうことを考えるようになった段階で、「ここにこういう性器があって、ここから赤ちゃんが生まれる」というのを堂々と教えるそうです。そうすれば子供は「これはとても大切なことで、堂々と考えていいことなんだ」と学びますよね。

 

日本の性教育が遅れているのであれば、自分の子供にはしっかり自分自身で教育をしていく。残念ながら日本では、いいパートナーに巡り会えるかってことが究極的に大事になってくる。いい男がいる望みがあまり高くないとするならば、ある種教育をしていかないといけない。だからこそ、この映画をパートナーと一緒に観て、性についてオープンに話すきっかけにされたらいいのではって思います。

 

若い人の性の体験率が非常に落ちていて、これは、取り返しがつかないイメージがあるからだと思うんですよね。もちろん妊娠などは非常に難しい問題になりますが、きちんと気をつけていれば、セックスは取り返しのつかないことではないので、ぜひその辺はチャレンジして欲しいですね。大人は若い人がチャレンジしようとしていることに対して、後押しできるような大人でありたいですね。

(3度の結婚をし、人生を謳歌するルース先生)

現代日本における「セックスの想定」「セックスの基準」はどうしてもAVになってしまう。

それは学生時代からきちんとした性教育を受けることが出来なかった背景も大きく影響しているようです。この「想定」から抜けられない限り、「ここで喘いじゃいけないのかな?」「潮をふけない私はダメなの?」「中イキできないなんて…」といった不毛な悩みが後を絶たないのだろうなと寂しくなってしまいました。

 

最後に西野より田中先生に、「この映画をどんな人に観てもらいたいですか?」という質問がありました。

 

田中先生:こういう性とかジェンダーに関して、まず男の人がなかなか関心を持たないので、今日来てくださっている男性は素晴らしいと思います。男性は放っておいたら来ないので、僕は男性に見て欲しいです。

 

また西野は、最後にこう映画を振り返りました。

 

「恋人同士でぜひ観てほしいってお話もありましたけど、TENGAもお土産として人に渡すと、それがきっかけで話すようになって、セックスレスが解消したという嬉しいお話もあります。きっかけづくりとして、セックスする人に観て欲しいし、セックスする機会がある人にも観て欲しい。とってもいい映画でした」

 

性に対して、悩みを抱える人は実に多くいます。それはパートナーに対してだったり、自分に対してだったり、世の中に対してだったり…。

 

それらを解決する方法は性教育や、ちょっとした勇気や、コミュニケーションなど様々な方法がありますが、まずはこういった話がもっとポジティブにできる社会になってほしいなと強く思いました。そのきっかけ作りとして、お友達やパートナーと、ぜひ映画を観てみてくださいね!

 

ネガティブに捉えられがちである性の話題に、明るくポジティブに向き合うルース先生の生きざまを描いた映画「教えて!ドクター・ルース」は、8月30日(金)ロードショーです。

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