irohaとして大阪で初めてのトークイベント「女性の性をめぐる物語〜揺れ動いてきたセルフプレジャーの歴史〜」イベントレポート
みなさんこんにちは、そして初めまして。広報宣伝部に5月より入りました、広報担当の犬飼幸(いぬかいさち)と申します! 猫より犬派ですが、一番好きな動物はマンボウです。全力で不器用を体現しているあの姿に母性が爆発して、毎度水族館で泣きそうな気持になっています。(共感してくださる方がいたらぜひ語りましょう)どうぞよろしくお願いいたします!
さて、2019年5月22日(水)~6月4日(火)まで、大丸梅田店さんで、iroha POP UP STOREを期間限定でオープンしておりました。
大丸梅田店さんでのストア開催は、おかげさまで3回目となりました。こちらを記念して、5月24日(金)、irohaとしては大阪で初のトークイベント「女性の性をめぐる物語〜揺れ動いてきたセルフプレジャーの歴史~」を開催いたしました!
大阪初開催ということで、お客様がいらしてくれるか正直不安でいっぱいだったのですが、お申込みがとっても多く、なんと増席することに!多くの方にお越しいただくことができ、本当に嬉しかったです……!
今回のブログでは、そんなイベントの内容をたっぷりとご紹介いたします♡
Index
”ヒステリー”の治療器具として西洋で開発 西洋と日本のバイブレーターの歴史
イベントは、前編と後編の2部構成。登壇したのは、iroha広報の西野と本井の2名です。
簡単な自己紹介のあとは、早速、性にまつわるクイズが行われました。
問1:19世紀のアメリカで発売された本には、「セルフプレジャーが39の病気を引き起こす」と記されていたそう。この衝撃的な本を書いた人物は誰か
問題文が読み上げられた段階で会場からは、「(病気を引き起こすなんて)んなわけ(笑)」というような笑い声が上がりましたが、いったいこれ、誰が書いたかご存じですか?
正解はなんと……。
あの、コーンフレークの発明者、「ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ」氏なんです。
彼が発明したコーンフレーク、実は、性欲を高めないための自然な食事として作られたものだったんです。これには会場からも「ええぇぇ」という驚きの声が上がっていました。
今聞くとびっくりな内容ですが、当時としては特別おかしな考え方ではなかったようです。なぜこんな考え方が出てきたのか。その背景を知るため、その後話は近代ヨーロッパで生まれたバイブレーターの歴史に移ります。
体がむくんでも、息切れしても……原因はヒステリー!?
19世紀、女性たちが体調不良を訴え病院に行くと、医師たちはあろうことか全てを「ヒステリーによるものだ」と診断していたそうです。
当時の医学界はヒステリーを「子宮が体内で暴れまわって悪さをする病気」だと認識していたそうで、なんとこの認識は、紀元前4世紀頃から続いていたとか。
さらにヒステリーを治すには、性器マッサージでオーガズムを迎えさせることが有効だと考えていたというのです!(飛躍がすごい……)
最初はこの性器マッサージ、医師の手で行われていたそうですが、さすがにしんどい……ということになり、手に代わるマッサージ方法として、電動マッサージ機が誕生しました。
(見るからに恐ろしい……え、局部もげるよねこれ……?)
図版出典:レイチェル・P. メインズ 著, Rachel Pearl Maines 原著,佐藤 雅彦 訳『ヴァイブレーターの文化史』(論創社)
これらの世にも恐ろしい器械によるマッサージで対処されていたヒステリーですが、その原因は「パートナーとのセックスに満足できていないこと」だと考えられていたそう。
「女性は普通ならセックスでオーガズムを得られるはずなのに、それを得られないのは“病気”」という考え方から、ヒステリーは治療が必要なものという認識になっていったようです。(なんてこった…)
『ヴァイブレーターの文化史』の著者、レイチェル・P・メインズ氏によると、このように診断される原因は、「性的不満を訴える女性の夫が、自尊心を傷つけられないようにするため。『男が女性の膣に挿入してオルガズムを得ること』こそ正しい性行為のあり方であるとする男性中心主義の規範を護持するため」ということでした。
でもこれ、なんとなく現代にも当てはまることがあるような……?
相手を傷つけないために我慢をしてしまう、本当は挿入以外にも大切なことがあるけれど、なんとなく「セックス=挿入」の意識が根強くて言えない。こういうことってまだまだ現代でも多いなあと思ってしまいました。
日本における女性のセルフプレジャーと道具
話は海外から日本へと移ります。
2つ目のクイズは、「中世から江戸時代にかけて使われていたとされる自慰行為を表す言葉はどれか」というもの。
1かはつるみ 2せつり 3かひなげ 4へんずり
どれが正解か分かりますか?
正解は……まさかの全部でした! すみません!(笑)
さらに3つ目のクイズでは、江戸時代に使われていた「張形」※にまつわる問題が出題されました。
※張形(はりがた)とは、男性器を模したプレジャーアイテムで、現在のディルドのようなもの。
江戸中・後期に活躍した画家、月岡雪鼎の『艶道日夜女宝記』では「きびすがけ」という張形の使用方法が紹介されていたのですが、これはいったいどのような体位を表しているかという問題。
1片足をあげて外側から手を回す
2足首に張形を結び付けて動かす
3布団に張形を結び付け、布団を男に見立てて自分が乗る
あらかじめ西野から、「ここからは刺激的な画像が出ます」という注意喚起はあったものの、なかなかダイレクトな画像に会場からは笑いが起こっていました。
図版出典:田中 優子 著『張形と江戸女』(ちくま文庫)
この問題はなかなか難しかったようですが、「きびす」という言葉の意味を考えると、答えが見えてくるかも……?
正解は、2「足首に張形を結び付けて動かす」でした。
「きびす」は「かかと」のことなので、語源を考えると「確かに~」となりそうですね。
このように文献や春画を紐解くと、江戸時代には、女性の性に関してとてもおおらかな文化があったようです。
・先輩女中が性具に関して後輩に講義をしているような春画
・張形を買いに来た女性の春画
・性具、性薬販売で有名だった「四ツ目屋」も存在
・神社における性器信仰
上記の例を見るに、日本では西洋と違い、男女問わず性を楽しむ考えや行動が受け入れられていたのです。
明治維新で西洋からの思想が流入
江戸後期、それまで統治してきた徳川幕府が倒れ、明治維新が起きます。このタイミングで様々なモノや思想が、海外から日本に持ち込まれるようになるのですが、性に関する思想は、これまでの「性は豊穣で聖なるもの」から「邪悪なモノ」に一変してしまったのです。
例えば、「広告でハート型や桃色の色彩を使って享楽を暗示する」ことも、性にまつわるものだと規制の対象になったようです。
これには進行の2人も会場の皆さんからも、「いやいや考えすぎでしょ(笑)」と突っ込みが飛びました。
このようにして、西洋から持ち込まれた考え方により、今まで豊かで寛大だった日本の「性」に対する考え方は、大きく変わってしまったのです。
欧米ではセルフケアの一つ 世界のセルフプレジャー
では、世界におけるセルフプレジャーはどのような位置づけをされているのでしょうか。
2018年の世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「サウスバイサウスウェスト」のウェルネスエキスポでは、ヨガ・アロマ・オーガニック製品と同じ会場に女性向けバイブレーターが展示されていました。
またTENGAが2019年に行った調査では、アメリカ在住の約1000人にストレス解消に有効な方法を聞いたところ、74%の人が「セルフプレジャー」と回答しており、欧米では「セルフプレジャー」は「セルフケア」の一つとしてとらえられている姿が浮かびました。
一方で日本では、性について語り、考えることははしたないことだと、タブー視されがちです。しかし、今回のイベントでご紹介してきたように、元来、性、特に日本における性は、ごく自然なものとして私たちの生活の中に確かに存在していました。
前編の最後に本井からは、「性的欲求は自然なもの。それについて知り、考えることは重要なことだと私たちは考えています」という締めの言葉が。
いつからか変わってしまった性への価値観ですが、人間の三大欲求の一つとして、睡眠欲や食欲と同じように自然なこととして、受け入れられるといいなと感じました。
irohaに関する質問コーナー
後編は、irohaに関する質問コーナー。進行の広報2名が、irohaに関する皆さんからの質問にお答えする時間でした。
今回のイベント参加者の内、なんと約64%の方がirohaをまだ使ったことがない方ということで、irohaファンの方からビギナーの方まで、皆さんが気になる質問に回答していきました。
質問1:irohaって何がある?形によってどう違う?
2013年3月に誕生した『iroha』は、女性の「気持ちよさ」について真っすぐに考えた セルフプレジャー・アイテムです。大きく分けて充電式と乾電池式の2タイプがあり、さらにあてがって使うタイプと膣内に挿入できるタイプの2パターンがあります。
価格帯も、『iroha stick』(1,346円 参考価格・税別)のような手に取りやすいものから、充電式の『iroha FIT』(11,364円 参考価格・税別)まで様々なものがあります。
まずは、「挿入タイプがいいか?振動タイプがいいか?それとも両方できる方がいいか?」というところから選んでいただき、それぞれの特徴や大きさなどからお好みのものを選んでみてください♡
質問2:おすすめの使い方
この質問に関しては、広報2名がそれぞれのおすすめの商品と使い方を、熱意たっぷりで紹介しました!
「私のおすすめは『YORUKUJIRA』ですね。まず小陰唇をくちばしの部分でなぞります。小陰唇って性感帯としてあまり認識されていないのですが、実はめちゃめちゃ気持ちいいので、この場を借りてお伝えできればと思っています(笑)。あとは(YORUKUJIRAの)先端でクリトリスを挟んでいただいてもいいと思います」(西野)
「実は私も入社前からYORUKUJIRAは手にしていて、『これや……』と思っていたんです。クリトリスにあてて使っています。あと、最近のお気に入りは、『RIN』ですね。私はあまり強い刺激が得意ではないので、RINの”ほよほよ~”っていう刺激がちょうどいいんです」(本井)
このようにそれぞれの商品でいろいろな使い方、楽しみ方ができるんです♡
(ちなみに私は初めて使ったirohaが『zen』だったので、zenがお気に入りです。この子、本当に音が小さくて静かなので、家族がいる横でこっそり使ってスリルを味わうのが好きです)。
質問3:保管方法・お手入れ・変え時
3つ目の質問は、irohaの保管方法やお手入れ方法について。
こちらは本井が社内の開発担当にヒアリングをし、回答してくれました!
保管方法は、
①直射日光が当たるところは避ける
②高温多湿は避ける
この2つが長持ちさせる上でポイントとのこと。また、2人はベッド付近の収納スペースにirohaを入れて保管しているとのことでした。(私は洋服ダンスの上に一直線に並べて飾っています)
さらに、お手入れ方法に関しては、水洗いでも十分ですが、ハンドソープなどで洗っていただけると良いとのことでした!(お手入れ方法って地味に気になりますよね……!)
最後に替え時に関しては、シリコンがよれてきた時が目安とのこと。使って数か月でよれることはないかと思いますが、こまめにシリコンの状態を見ていただけると嬉しいです♪
『iroha temari』『iroha INTIMATE SHEET』発売!
質問コーナーの後は、今回のイベント開催日に発売が開始されたirohaの新作『iroha temari』と、5月30日に発売された『iroha INTIMATE SHEET』を紹介させていただきました。
シリーズ最大出力のハイパワーモーターを搭載した『iroha temari』。
落ちにくいデリケートなお肌の汚れや、ニオイの元を拭き取れる、デリケートケア用のウェットシート『iroha INTIMATE SHEET』。
それぞれ、「あ~これ確かにあったら嬉しいかも……」に絶妙に応えてくれるアイテムに仕上がっているので、ぜひお手に取ってみてください♡
と、いうわけで、以上のプログラムでイベントは終了。知られざるセルフプレジャーの歴史や、西洋と日本の価値観の違いなどをお届けしました。
今回のイベントは、性別や年齢を問わない根源的な欲求のはずである「性欲」が、女性自身の口から語られることが、「はしたない」や「恥ずかしい」とされたのはいつからなのかを、時代の流れとともに知ることで、フラットな視点でセルフプレジャーと向き合うことができたらということで企画されました。
こうして見てみると、元々日本では、性に対してかなり前向きでおおらかな考えを持つ方が多く、それを受け入れられる空気が世の中でできていたことが分かります。
もしかしたらこういった背景を知り、「あれ?セルフプレジャーって別に恥ずかしいことじゃないんだ!」と気づくことで、もっと多くの方が普段のセルフケアと同じように、セルフプレジャーを楽しんだり、性について考え、感じ、語り合えたりするようになれるかもしれません。
これからもirohaでは、イベントやポップアップストアの開催を通して、セルフプレジャーや性に関する情報や想いを届けてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!