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ラランドのサーヤ、ニシダが語る「生理」。みんなで理解を深めるには?

ラランドのお二人
サーヤさん(写真左)とニシダさん(写真右)

 

十人十色の生理事情。同性同士でもその差を理解し合うことは難しく、それゆえコミュニケーションのなかで誤解が生まれてしまったり、仕事においては業務に影響を及ぼしてしまったりする場合もあります。当事者にとっても難しい問題ですから、男性はよりわからない部分が多いことでしょう。ただ、理解できないことをそのままにするのではなく、性別問わず「生理」について知り、ゆくゆくは互いに支え合えるような社会が理想ではないでしょうか。

 

お笑いコンビ・ラランドのお二人は「あの頃ドッチボールをしていた男の子たちへ【性教育の遅れ指摘おばさん】」と題してYouTubeで生理についての動画を配信。実際にナプキンなどの生理アイテムを紹介しながら、サーヤさんの体験談を交えつつも、男性のニシダさんに向けて生理を説明しました。明るく、しかし率直な生理事情を語る二人の様子に、「知らなかった」「参考になった」という男性の声も多く集まったと言います。今回はお二人に、動画を撮影した経緯から、性別関係なく生理への理解を深めるためにはどうしたらいいかをうかがいました。

 

ラランド
サーヤ(1995年12月13日生まれ、東京都出身)と、ニシダ(1994年7月24日生まれ、山口県出身)のコンビ。2014年、上智大学のお笑いサークル「SCS」で結成。2018年『お笑いサークル団体戦 NOROSHI』に「オデッセイ」として出場し、優勝。翌年末にはアマチュアながら、『M-1グランプリ』のセミファイナリストとして敗者復活戦に進出。2021年2月には個人事務所「レモンジャム」を設立。YouTubeチャンネル『ララチューン【ラランド公式】』には、ネタ動画やさまざまな企画動画をアップする。『ラランド・ツキの兎』(TBSラジオ)や、『ラランドの声溜めラジオ』(GERA放送局)でラジオパーソナリティーを務める。また、サーヤ単独のレギュラー番組に『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレビ朝日)や『ラランド・サーヤの虎視舌舌』(文化放送)がある。
twitter:@RRND01 Instagram:@lalande.official
HP:https://www.lalande.jp/

 

「なんで男子に秘密にしなきゃいけないんだろう?」と違和感がずっとあった

——お二人は、ラランドの公式YouTubeで「あの頃ドッチボールをしていた男の子たちへ【性教育の遅れ指摘おばさん】」と題して、生理について語り合う動画を投稿していらっしゃいました。46万再生もされ(2022年2月時点)、多くの方が視聴していますが、あらためてこの動画の反響はいかがでしたか?

 

サーヤ:男性からの反響が思っていたよりも多く、「生理について知る機会がなかったからありがたい」といった声が寄せられましたね。いまはどうかわかりませんが、私たちの世代は、小・中学生のときに、女子と男子に分けられて、女性は生理について授業を受けて、そのあいだ男子は外でドッチボールをやったりしていて。教育上、「男の子は知らなくていい」みたいなスタンスを取られていたからか、本当にただただ知らなかったという人が多かったです。

 

ニシダ:ぼくも、体育の時間のときに女子は教室で座学をして、男子は外で遊んでて、みたいな経験ありますね。

 

サーヤさん

 

ニシダさん

 

サーヤ:謎に女子だけ集められて話を聞く感じ、単純に怖かったよね。「なんで男子に秘密にしなきゃいけないんだろう?」みたいな。あとから男子に「何やってたの?」って聞かれても、男女分けられていたってことは、隠さないといけないことなんだと感じて。変な偏見のようなものを植えつけられてしまった気がしますね。

 

——ニシダさんご自身は、生理について知識はどのくらいありましたか?

 

ニシダ:あまり詳しくは知りませんでした。「女性には生理があるんだ」っていうだけの認識だったので、あの動画で初めて具体的な話を聞いたという感じです。生理の話題について嫌だとか抵抗感があるみたいなことはないのですが、やっぱり当事者ではないのですべてを理解することはできないんだろうなとは思います。でも、サーヤさんの話を聞きながら、わからないけれど、できる限り理解しなきゃなという気持ちになりました。

 


「あの頃ドッチボールをしていた男の子たちへ【性教育の遅れ指摘おばさん】」
ラランド公式YouTubeチャンネル「ララチューン」より

 

生理は、パートナーとの接し方を考える機会にもなる

——そもそも、なぜ生理をテーマに動画を撮ったのですか?

 

サーヤ:もともと私が、ラジオとかで生理の話題を取り上げていたら、「私もそういう体験あります」っていう内容のメールがすごく届いたんですよ。女子と男子別々の部屋で授業を受けたり、生理の重い女性が、生理が軽い人から無神経なことを言われたりとか。それで、YouTubeを一緒にやっている作家の方と、そういう話にみんな興味があっても、意外とオープンにはしないから、私たちが話してもいいかもねということになり、動画を撮影しました。

 

 

——動画には「#性教育の遅れ指摘おばさん」とタグづけしていましたね。ラジオのリスナーさんの声などからも、性教育の遅れを感じましたか?

 

サーヤ:なんでずっと教育が変わらないのかなとは感じます。もちろん、現場は現場でいろんな理由があるんだろうなとも思います。以前、学校で働いている人からラジオ宛にメールをいただいたのですが、「単純に教員不足だし、まだまだ若い世代の人が教えるという環境になっていない。性について、オープンに話してはいけないみたいな価値観の人が未だに多いから、性教育をアップデートするのが難しいんじゃないか」とのことでした。

 

―サーヤさんは、生理について知らない男性が意外と多いことに対し、どのように感じますか?

 

サーヤ:私は自分がこういう動画を撮影するうえでも、ラジオで喋るうえでも、あまり説教くさいスタンスは取りたくなくて。性教育の遅れについても、同様です。私は、生理やホルモンバランスの崩れについては母から教えてもらいました。でも、男性が女性のからだにまつわる知識を親から教えてもらうことって、なかなかないと思うんですよね。

 

ニシダ:たしかに、親とそういう話をしたことはないな。

 

サーヤ:だから、男性が生理や異性のからだについて理解していないのは、仕方ない部分もあると思っています。

 

——男性はどのタイミングで生理について学べるのでしょうか。

 

ニシダ:ぼくらの世代でも、親から教わる人は多くないだろうし、保健体育の授業でも、異性のからだのことはどこか他人ごとのように思っていましたし……。難しいですね。ただ、身近に女性の友人や先輩後輩がいたり、異性の恋人ができたりしたタイミングで、気にし出すんじゃないでしょうか。それが最初の実学というか、男性にとって生理に対してリアリティーを持つ瞬間というか。

 

——ニシダさんは、パートナーと関わるなかで気づいたことはありますか?

 

ニシダ:本当に人によって症状が異なるんだなって実感しました。もう起き上がれないみたいな人もいるし、平気そうな人もいる。「生理」って言葉で一括りにしていいの? ってくらい人それぞれ違うのが不思議で、だからこそぼくも気をつけなきゃと思いますね。

 

サーヤ:生理のとき、パートナーがどういう反応をするかで、その人の人間性とか他人に対する気遣いの度合いが測れる気がする。レバーを買ってきてくれたら感動するもん。

 

ニシダ:レバー、感動するの?

 

サーヤ:「(生理だから)鉄分を取れ」って、鉄分が入ってる食品を買ってきたとき、感動する。

 

 

——察してくれるのはありがたいですよね。

 

サーヤ:一方で、生理について詳しく知らなくて、ただただ心配になっちゃう男性もいると思いますけど、そういうときは「何が辛いの?」「どうしてほしい?」とか、普通に聞けばいいと思います。生理って本当に人によって重さも症状も違うので、相手に寄り添ったコミュニケーションを取っていけばいいんじゃないかな。もちろん男性だけじゃなく、女性同士も。

 

新しい価値観に気づき、シフトする人が増えている

——相手のからだについて完全に理解し切ることはできなくても、理解しようとコミュニケーションを取ることは大事ですよね。そういった考え方の人も増えてきている一方で、まだまだタブーな話題だと考える人もいます。教育の面もありますが、古い価値観をアップデートするために、どうすれば良いと思いますか?

 

サーヤ:例えば私が性にまつわる話をしたとき、「女の子がそんなこと言うの?」とか言う人がまだいますけど、「どうでもいいな」と思っちゃうんですよね。その人に気を遣って意見を引っ込めるのではなく、「タブー視する人もいるよね」くらいの気持ちです。

 

古い価値観の人たちも、当時はそれが普通で、大人からそうやって教えられたわけだから、「古い価値観」と相手をやたら責めることは心苦しいというか、違うように思います。私は、たまたま家や大学でジェンダーや性のことを先取りできた環境にいたから、「その価値観は古いかも」と気づけているけど、そういう環境じゃなかったらわからなかっただろうし。

 

でも一つ言えるのは、「古い価値観」はだんだんと淘汰されていくものだということ。最近、芸人もそうですけど、「こんなこと言ったらいまはダメなのか」って免罪符みたいなセリフを言う人がいるじゃないですか。新しい考え方にシフトしていかなきゃいけないんだ、と気づき出している人が増えている証拠だと思うので、いい兆候なんじゃないかな。

 

——ニシダさんはいかがですか?

 

ニシダ:生理に気を配れる男がもっとモテたらいいですよね。結局男ってモテるために頑張ってるところがあるので(笑)。

 

サーヤ:優しい人はモテるよね。

 

ニシダ:そうだね。生理に気を配る「優しい」人……。いや、でももっとわかりやすく、「生理に気を配れること」がモテる人の条件に入ってきたらいいなと思います。

 

 

生理時の過ごし方は? サーヤさんに聞く

——ちなみに動画では、さまざまなナプキンを紹介されていました。そのほかに、実際に使っている生理アイテムはありますか?

 

サーヤ:パンツタイプのナプキンはストレスフリーですごくいいなと思っています。スタイリストさんから衣装をお借りしているときは、汚しちゃうんじゃないかって心配でストレスになってしまうので、漏れづらいナプキンや下着にするなど、いろいろ試しています。

 

ほかには、電子レンジでチンする湯たんぽ。それを寝るときに腰に当てていますね。ただ、生理に限らず健康に過ごそうとは思っていて、それは今年の目標でもあります。特に自律神経系。湯船に浸かったり、サプリを摂ったりして整えるようにしています。

 

あとは、いままでは変な意地で生理痛の痛み止めを飲まなかったんですけど、最近は辛ければ飲むようにしてます。それでだいぶ痛みが治まるので、早いうちに飲んでおけばよかったなと思いました。生理自体は重くないんですけど、体調が崩れやすくなるので、まわりには素直に伝えるようにしています。

 

——ありがとうございます。たしかに、自分の状態を素直に伝えることは、お互いにとって良いコミュニケーションのきっかけとなりそうです。次回はラランドさんの美容ケアについてうかがいます!

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