セルフヘルプな医療の観点から考える/関口由紀先生
関口由紀先生
医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNAグループ理事長
医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNAグループ理事長、医学博士、経営学修士、泌尿器科専門医・指導医、漢方専門医・指導医、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学客員准教授
女性医療クリニックLUNA:http://www.luna-clinic.jp/
Index
関口先生が実践されている自助的(セルフヘルプ)な医療の観点から、先生のお考えになるセルフプレジャーの意味とは?
簡単に身体の状態を副交感神経優位に切り替えることが出来ます。
人間というのは生活のリズムが大切です。理想的には交感神経優位な状態と副交感神経優位な状態が、バランスよく、しかも規則的に組み合わされていると良い状態といえるでしょう。
若いうちは交感神経と副交感神経の切り替えはスムーズに行われますが、加齢やストレス、過労などによってその切り替えがうまく行われなくなる場合があります。そういった場合に交感神経と副交感神経の切り替えを行う方法の1つとして、有効なのがセルフプレジャーです。セルフプレジャーを行う事で、身体が副交感神経優位になりますので、交感神経優位になりがちな生活の人でも、簡単に身体の状態を副交感神経優位に切り替えることが出来ますね。
また、セルフプレジャーの経験のある女性とそうでない女性とでは、経験のある女性のほうが圧倒的に自分自身の身体のことを知っているようです。学習的な意味合いとして、セルフプレジャーで自分の身体を知っていた方が、セックスの相手にも自分の好みを伝えやすいというメリットもあります。
安全で衛生的なセルフプレジャーをするには、まず何に気をつければよいのでしょうか?
基本的なことですが、手指を清潔に保つことが重要です。
石鹸を使ってよく手洗いをしましょう。爪が長くても問題ありませんが、洗い逃しの無いように丁寧に洗いましょう。
グッズも同様に、清潔に保つことが重要ですので、きちんと洗えるものが良いですね。使用後のグッズは中性洗剤で洗うとより衛生的でしょう。
世界の女性の性事情を教えて下さい。
米国では、より深いオーガズムを得るためにカップルでグッズを使用するということが一般的に行われています。
米国の文化では、女性の快感というものを非常に大切にしているためです。グッズを利用することも、女性がより快感を得られるための選択肢の一つとして積極的に取り入れられています。映画やテレビのコメディ番組でも「女の人の部屋を家捜しすると、グッズが出てくる」といったシュチュエーションがよくみられます。「寝室にあってしかるべきもの」「誰もが持っているもの」いう認識があるようですね。
また、ヨーロッパでは、ベルリン中央駅の駅前にアダルトグッズのショップがあったり、世界最大のアダルトグッズ見本市があるなど、市場として成熟しており、大人の女性であればそういったグッズを1つは持っているという認識が社会全体にあるように感じます。
Female Sexual Dysfunction以下略してFSD(女性性機能障害)の治療のひとつとして、セルフプレジャーは有効的なのでしょうか?
FSD(女性性機能障害)の原因は様々ですが、いずれの場合もセルフプレジャーは有効です。
また、FSDという病気以前に、自分自身の身体をよく知らないことでセックスが好きになれないという女性も少なくありません。
女性側が相手の男性に自分の気持ちのよい触り方や部位を伝えられない、反対に男性側が十分な愛撫を施さないために挿入に痛みを伴うといったこともあります。そういったカップルにとっては、こういったグッズを使って遊ぶことが、前戯の練習になるでしょうね。
※FSD(女性性機能障害)とは
身体的な問題や精神的な問題で、セックスをする気持ちにならない、セックスをしようとしても局所が反応しない、オーガズムを感じない、セックスの際に痛みを感じる等の状態をFSD(女性性機能障害)といいます。
性に関する悩みがあるけれども、まわりの誰にも相談できない、したくないといった場合は、どう対処すべきなのでしょうか?
ネットの相談窓口を利用するのがいいでしょう。
本当はパートナーに相談ができると、相手との関係が深まり良いのですが、パートナーやまわりの友人などに相談できない場合は、ネットの相談窓口を利用するのがいいでしょう。私もそういった相談コーナーの質問に答えていますが、全体の半分くらいはセックスの悩みです。
病院などで専門家に相談するのも有効ですが、婦人科の先生すべてが性の問題に詳しいとは限りません。性機能、性科学に詳しい婦人科、泌尿器科、精神科の先生を探してみて下さい。